序章 概説
1 一般情勢
フィリピンは南方アジア地域に位置し、国土は7千以上の島しょからなる群島であり、その総面積は30万平方キロに及ぶ。近隣には束南アジア諸国連合(ASEAN)の構成国であるインドネシア、マレーシアなどが位置し、少なからずこれまでこれら諸国から政治的、経済的な影響を受けてきた。 フィリピン人は相対的に均質的な民族とされる。大半のフィリピン人は、血縁と慣例によって結びついたクライエントリズム(親分・子分関係)を基本とする互恵義務のネットワークを形成している。 宗教上は、ローマ・カトリックが支配的な信仰であるものの、少数派とされるイスラム教は、一部地域(ミンダナオ島及びスル群島など)では多数派を構成し、政府との武力衝突の原因ともなっている。 フィリピンの面積などは次のとおり。 面積:30万平方キロ(92%が諸島、日本の国土面積の約8割) 人口:6,148万人(1990年推計) 首都:マニラ(188万人) 人種:主にマレー系の民族で、中国人、スペイン人との混血をあわせると人口の9割を占める。ビサヤ、タガログ、イロカノなど40余の民族からなる。 宗教:カトリック教徒 84.1% アグリバヤン(フィリピン独立教会派) 6.2% イスラム教徒 4.3% プロテスタント 3.9% その他 1.5% 言語:公用語は、フィリピノ語及び英語 国語は、首都マニラのルソン島中央部の言語であるタガログ語を母体とした言語。ピリピノ語とも言う。70以上の言語があるとされる。 (出所:財団法人海外職業訓練協会「海外職業訓練ハンドブック・フィリピン」) 軍事:陸軍6万8千、海軍2万3千、空軍1万5千5百。 国民総生産:633億1100万ドル(1人当たり960ドル) 通貨:1ペソ(3.91円:1995年11月30日現在) (出所:朝日年鑑1996)
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